遺品整理を始めると、想像していた以上に多くの物が出てきます。
「古そうだから捨てても大丈夫だろう」
「使い道が分からないから処分してしまおう」
そう思った物の中に、相続や解約手続きで必要になる書類が混ざっていることもあります。
一度処分すると元に戻せない物もあるため、最初から「残す物」と「捨てる物」を決めようとせず、まずは大切な品を避けるところから始めましょう。
1.遺言書や遺言書らしき封筒
「遺言書」「遺書」「家族へ」などと書かれた封筒や書類が見つかった場合は、ほかの書類と分けて保管してください。
封印された遺言書は、その場で勝手に開封せず、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもと開封する必要があります。また、公正証書遺言や法務局で保管されていた自筆証書遺言を除き、家庭裁判所で検認が必要になる場合があります。
内容が気になっても、封がされたものはそのままにしておきましょう。
2.通帳・キャッシュカード・印鑑
古い通帳や現在使っていないように見える口座も、すぐには処分しない方が安心です。
通帳からは、次のような情報を確認できることがあります。
- 預貯金の残高
- 保険料や公共料金の支払い
- 株式や投資に関する入出金
- 家賃や管理費の引き落とし
- 知らなかった定期預金
印鑑も、実印・銀行印・認印の区別が分からない場合は、まとめて残しておきましょう。
3.不動産に関する書類
権利証、登記識別情報、固定資産税の納税通知書、売買契約書、土地の測量図などは、不動産の確認や相続手続きで役立つ可能性があります。
現在は相続登記が義務化されており、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に登記の申請が必要です。正当な理由なく手続きをしなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性もあります。
古びた封筒に入っていることも多いため、書類の見た目だけで判断しないようにしましょう。
4.保険証券や保険会社から届いた書類
生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険などの書類も残しておきます。
保険金は、家族が保険契約の存在に気づかないままでは請求できません。
保険証券が見つからなくても、保険会社の名前が分かる郵便物や、通帳の引き落とし履歴が手がかりになることがあります。
「契約終了」と書かれた書類も、念のためほかの資料と一緒に保管しておくと安心です。
5.借金やローンに関係する書類
請求書、督促状、ローン明細、消費者金融からの郵便物、連帯保証に関する契約書などは、決して捨てないでください。
相続では、預貯金や不動産だけでなく、借金などの負債も確認する必要があります。
相続放棄を検討できる期間には原則として期限があるため、「見たくない書類だから」と後回しにせず、別の箱にまとめておきましょう。
6.年金・税金・公的手続きに関する書類
年金証書、基礎年金番号が分かる書類、確定申告の控え、固定資産税や住民税の通知書なども、手続きが落ち着くまでは保管します。
すべての意味を理解する必要はありません。
判断できない書類は、次の3つに分けるだけでも十分です。
- お金に関係しそうなもの
- 役所から届いたもの
- 契約に関係しそうなもの
分からないまま捨てるより、「保留箱」を一つ作って残しておく方が安全です。
7.スマートフォン・パソコン・USBメモリー
スマートフォンやパソコンには、写真だけでなく、ネット銀行、証券口座、保険、連絡先などの情報が残っている可能性があります。
ロックを解除できない場合でも、すぐに初期化したり処分したりしないでください。
特に確認したいのは次のような情報です。
- ネット銀行や証券会社のアプリ
- 月額サービスの契約
- 家族や知人の連絡先
- 写真や動画
- メモやパスワードの記録
端末の処分は、中の情報を確認してから考えましょう。
8.鍵
何の鍵か分からなくても、すぐには捨てない方が安心です。
実家、倉庫、貸金庫、車、自転車、机の引き出し、金庫など、後から対応する鍵が見つかることがあります。
鍵だけでは判断できない場合は、見つかった場所を書いた小袋に入れて保管してください。
「寝室の引き出し」「玄関の棚」などと書いておくと、後から確認しやすくなります。
9.骨董品・貴金属・コレクション
家族にとって価値が分からない物でも、売却できる可能性があります。
特に注意したいのは次のような品です。
- 金や銀のアクセサリー
- 古い時計
- 切手や古銭
- カメラ
- お酒
- 絵画や掛け軸
- 陶器
- 趣味のコレクション
箱が汚れていても、中身に価値がある場合があります。
よく分からない物は、処分する前に写真を撮っておくと判断しやすくなります。
10.家族や親族に関係する写真・手紙
写真や手紙は、金銭的な価値がなくても、家族にとって取り戻せない物です。
自分には必要がないように見えても、兄弟や親族が残したいと思うことがあります。
すぐに処分せず、家族で確認する箱にまとめておきましょう。
量が多い場合は、すべてを残すのではなく、後から選べる状態にしておくだけでも十分です。
捨てるか迷った物は「保留」にして構いません
遺品整理が進まない原因の一つは、すべての物について、その場で結論を出そうとすることです。
最初は次の4つに分けると進めやすくなります。
- 必ず残す物
- 手続きに関係しそうな物
- 家族に確認する物
- 明らかに処分できる物
「分からない物」は無理に決めず、保留にして構いません。
ただし、保留箱が増えすぎると再び整理が止まるため、箱に日付や内容を書いておきましょう。
処分を依頼するときは業者の確認も必要です
家庭から出る廃棄物を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要です。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可だけでは、家庭ごみを回収できません。
遺品整理を依頼するときは、見積金額だけでなく、不要品をどのような方法で処理するのかも確認しておくと安心です。
重要書類や貴重品がどこにあるか分からず、自分たちだけで仕分けるのが難しい場合は、遺品整理の相談窓口を利用する方法もあります。何を残したいか、何を探してほしいかを先に伝えておくと、認識の違いを防ぎやすくなります。
まとめ
遺品整理で大切なのは、早く捨てることではありません。
- 遺言書
- 通帳や印鑑
- 不動産関係の書類
- 保険や借金に関する書類
- スマートフォンやパソコン
- 家族にとって大切な写真
これらを先に避けてから、処分できる物を整理していきましょう。
すべてを一日で決める必要はありません。
迷った物を残すことも、大切な判断の一つです。
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